
2021/12/11-12
「風、 12月、 映像祭」に寄せて すっかり、部屋の中にいることが多い世界になってしまいました。 わたしの部屋には、二つの窓があって、 そこからは、いろんな風が入ってきます。 微かにカーテンを揺らす、 雨の匂いを運んでくる、 窓ガラスがガタガタと鳴るほどの、 季節が変わるのだとわかるような、 例えば、そんな、風です。 春、この部屋に来て、 この街は、別府は、いつも風が吹いているところなのだと知りました。 海も、山も、近いからでしょうか。 すっかり、部屋の中にいることが多くなった この世界では、 映画だってライブだって、インターネットの環境さえあれば、家から出ることなく見ることが出来ます。 検索すれば、面白いものはたくさん見つかるし、自動的に好みのものが次から次へとおすすめされてくる。 素晴らしいことです。 いい作品はたくさんあります。 ある日友人が、人からすすめられたホラー映画を見た、と言いました。 その友人は怖がりなので、普段ホラー映画を見ることはありません。 「あんまり熱心に面白いよって言うもんだから、試しに見てみたらほんとに面白かった」 友人にとって、その作品は、 きっと、そのすすめてくれた人との交流も含め「面白い」ものになったのではないでしょうか。 「風、 十二月、 映像祭」で上映される作品が、誰かにとってのそういうものになれたらと願います。 ご存知の通り、家の中で感じる風と、外を歩きながら感じる風は違うものです。 十二月、きっとそこでは良い風が吹きます。